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猫の特発性膀胱炎(間質性膀胱炎)

猫ちゃんの特発性膀胱炎ってご存じでしょうか?
今まで何ともなかったけど、急に症状を出してくる原因不明の膀胱炎という意味合いですが、近年とても増えてきています。

実際の症状は病気の程度により様々ですが、

  しょっちゅうトイレに入る(頻尿、尿意の切迫)
  トイレで長時間じっとしている
  排尿時の痛み
  気張るが少ししか出ない
  血尿
  陰部をよくなめる
  症状が治りにくく持続的だったり、再発性である
  
いかにも一生懸命排尿をしようとしているのですが出せなくてなきわめいて苦しそうという症状が多くあります。

オシッコが出にくそうという訴えで動物病院に来院するのですが、触診で膀胱内に尿の貯留はほとんどなく(尿閉はない)尿結晶はまったくないか、あっても少量で細菌も認めないというように、一般的な検査してもコレといった原因は見つかりません。

ヒトの間質性膀胱炎もアメリカでは難治性膀胱炎として大きな問題になっていますが、それととても似た病態がネコでもあって、しかも近年とても多くなっていきています。

間質性膀胱炎の真の原因は未だ不明ですが、ストレスや食事との関連が疑われています。
その子が何にストレスを受けているか?生活の状況やFOOD等様々なことをお聞きしてストレスの軽減に努めながら辛抱強く治療を続けることも必要になります。

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呼吸が苦しそう

呼吸が苦しそう という訴えで来院する子は生命に直結する重大な病気なことがほとんどで、時として危険が伴うような治療法もあえて選択する必要に迫られます。

今回、中年以降の猫ちゃんの呼吸が苦しそうとのことで来院しました。
あまりに苦しい状態だとレントゲンすら撮れないこともありますが、まずこの子の胸部を超音波エコーで診てみると胸腔に水様物が溜まっています。
胸部全体を把握するためにレントゲン写真を撮ると、
胸部側面正面像

左胸腔のほとんどは水様物で満たされて機能できず、かろうじて右肺だけで呼吸できている状態です。

この水様物が何か?によって治療法が大きく変わりますので、胸に針を刺して採取します。
注射器で吸引すると、膿だ!。検査のためには少量でいいのですが呼吸を少しでも楽にしてあげるためにできるだけの量を採取します。
取った液を顕微鏡で確認すると膿汁でした。これで診断は「膿胸」と確定できました。
取った液は、どんな菌の感染で、どの抗生剤が効果的か等を調べるために培養検査に出すと共に、この子には全身的に点滴による抗生剤の投与が必要なので入院治療としました。

治療に抵抗する性格の子には難しいですが、幸いこの子は治療に協力してくれる子でしたので、局所麻酔薬で胸腔に膿を抜くためのチューブを設置できました。これでその都度針を刺さなくても貯留した膿を抜けるし、胸腔洗浄も効率的にできるようになります。

細菌培養の結果、3種類の菌が検出され、うち1種は嫌気性の芽胞菌。菌が生きにくい環境になると芽胞になって生き延び、菌にとっての環境が良くなると増殖してくるというシツコイやつです。しかも3種類共に効果がある抗生物質がなくほとんどの抗生剤に対して耐性菌。

毎日胸腔洗浄してだいぶきれいになってはくれてもなかなか完治とまではいきませんでしたが猫ちゃんの免疫能も上げるようにしながら集中治療を続けてこの子は菌に打ち勝ってくれました。

胸部正面像 胸部側面像

熱中症にご注意

犬はまだ人が暑いと感じない5月頃から熱中症を起こしやすくなります。
高温になる真夏は、飼い主様もしっかり気を付けてくれ、エアコンも入りますが、5月6月は飼い主様の意識に「熱中症」がまだ浮かばないことが多いようです。

先日、急に倒れて動けなくなったラブラドール犬のお宅に往診に行ってきました。
完全に意識なくとても危険な状態でしたがご家族の人たちと全員で力を合わせて身体を冷やしてあげていたらかなり落ち着いてくれ、その後完全に復活して今まで通り元気になってくれました。
飼い主様からの診察依頼があと少しでも遅かったら、このようにいい結果にはならなかったと思います。

これからの時期、どうか心の片隅に熱中症のことを留めておいて下さい。
特に高齢犬や肥満犬の場合は注意が必要です。
プロフィール

院長 黒須 幸雄

Author:院長 黒須 幸雄
日々の診療の中で苦労した症例や飼い主様に知っていただきたい病気のこと、病院の出来事、診療とは関係ないお気楽なことなど拙い文章で申し訳けありませんがエッセイ風に書いてみました。

まだまだ少ないですが、ゆっくり増やしていこうと思います。

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